吉村和敏 NFT写真展

『錦鯉〜世界に誇る日本の色彩〜』

吉村和敏は、20代の頃に行ったカナダでの暮らしをきっかけに写真家としてデビューしました。現在は、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、風景、人物、構造物、ドキュメンタリーをテーマに、意欲的な撮影活動を行っています。中でも、8×10や4×5の大型フィルムカメラを使って、日本の風景をユニークな視点で切り取った作品の人気が高く、定期的に開催している個展で作品の販売が行われてきました。

 本展では、日本文化の象徴とも言える「錦鯉」がテーマになります。全国各地の庭園や水路で泳ぐ色鮮やかな鯉の姿を叙情的にとらえ、また、新潟や広島にある錦鯉の養鯉場では、ハウジングに入れたデジタルカメラを使って、絵画を彷彿とさせるユニークな錦鯉の作品を生み出すことに成功しました。

 バーチャル・ミュージアムは、アート作品をバーチャル空間で鑑賞したあと、NFTによって希少価値が担保された作品を購入できるようになっています。

2種類のバーチャル空間について

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アート作品をバーチャル空間で鑑賞したあと、NFT付きのフィジカルな複製画を購入できる美術館となっています(近日公開)。

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アート作品をバーチャル空間で鑑賞できます。また、このoncyberからNFT付きのデジタルデータを海外最大手NFT取引所であるOpenSeaでご購入いただけます(Nishikigoi 04 ~ Nishikigoi 10 のみ購入可能です)。

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■作家からのメッセージ

世界に誇るニッポンの「色彩」錦鯉を巡る旅

 日本の街や村の景観には、鮮やかな原色が少ないと思う。各地に点在する歴史的美観地区を例にとってみても、茶色い木の壁と灰色の瓦屋根を持つ家屋や店舗が肩を寄せ合い、日本人の質素な暮らしを絵に描いたような落ち着いた雰囲気が広がっている。その中で原色といえば、玄関脇に植えられた花、路肩にたたずむ郵便ポスト、住人が乗っている車くらいだろうか。
 長崎県島原市を訪れ、街中の路地を歩きはじめたとき、足元を見て思わず動きをとめた。湧き水が流れる水路にはたくさんの錦鯉が泳いでいたからだ。赤や黄、金色の鯉たちは、太陽光に照らされてひときわ眩しく輝き、モノトーンの城下町に色彩のアクセントを与えていた。
 そのときは何気なく錦鯉と家並みを組み合わせて撮影したが、後日、この作品だけに不思議な力強さが宿っていることを感じた。錦鯉の存在価値に気づいた私は、すぐに一つのテーマとして追いかけてみようと思った。

 錦鯉は、新潟県山古志地方が発祥とされている。江戸時代中期、この山里で暮らす人々は、冬の間の貴重なタンパク源として真鯉を飼うようになった。その一部は棚田に水を引く灌漑用の溜池で飼育されていたが、ときおり突然変異で色つきの稚魚が誕生したという。娯楽が少なかった時代、村人たちはカラフルな鯉の出現を楽しむようになり、いつしか、より美しくユニークな模様の鯉の創出に情熱を燃やしはじめていた。

 この色つきの鯉が県外の人に知れ渡ったのは、1914年(大正3年)に行われた東京大正博覧会だった。錦鯉と呼ばれるのも、ちょうどその頃だといわれている。

 そして昭和30年代後半、日本が高度経済成長期に突入すると、人々は競い合うようにマイホームを建てはじめた。庭に造った池で錦鯉を飼うことがブームになり、錦鯉は急速に全国へと広がった。生産者、販売業者も増えたという。

 そんな錦鯉の歴史を踏まえた上で、私は新潟県山古志村と、同じく錦鯉の養殖で知られる小千谷市から取材を開始した。

 錦鯉の養殖は春先からはじまる。卵から孵った多くの稚魚は、選別を重ねるうちに、徐々に将来性のある個体だけに絞り込まれていく。飼育は野外の大きな養殖池で行われていた。美しい色を出すには、雪解け水と土壌に含まれるミネラル成分が重要となるらしい。

 私が最も興奮したのは、秋に行われる錦鯉の池上げだった。濁り水が抜かれた池に養鯉業者が入り、大きく成長した錦鯉を一匹一匹慎重に抱きかかえ、水槽に移していく。艶やかで煌びやかな色彩を目にするたびに、深い感動につつまれた。

 九州、中国、四国地方を巡り、錦鯉が泳ぐ街中の水路や日本庭園の取材も行った。美しく愛嬌ある錦鯉はやはり自慢なのだろう、どこも快く撮影を許可してくれた。

 こうして日本各地を旅しているときに気づいたことがある。それは、錦鯉に興味を示すのは主に子どもたちであり、ほかは海外からの観光客がほとんどだった。外国人は、まるで動物園で稀少な動物と接するかのように、色鮮やかで巨大な錦鯉を見て興奮し、一緒に記念写真を撮っていた。


 もちろん日本にも、熱心な錦鯉の愛好家はまだたくさんいる。しかし今では、養鯉業者が愛情を注いで育てた高価な錦鯉の多くが、海外へと空輸で送られていく。特にドイツやオランダ、インドネシアでは、「NISHIKIGOI」が大変なブームになっているのだ。

 日本には、世界に誇る素晴らしい文化がたくさんある。しかし、この国で生まれ育った日本人の多くは、何故かその文化を意識の隅に追いやってしまう。私は錦鯉の取材を通して、また一つ日本ならではの「美」を再発見することができた。錦鯉をテーマにした色彩の旅は、これからもつづけていくだろう。

吉村和敏 

■NFT出品作品

錦鯉04

池には、紅白・大正三色・山吹黄金などさまざまな種類の錦鯉が泳いでいる。

カメラをハウジングに入れ、水中から撮影を行った。錦鯉がなかなか綺麗に並ばない。5000枚以上シャッターを切り、ようやく1〜2枚のベストショットが生まれるといった感じで撮影を行った。

錦鯉を飼育する池で、水中から撮影することは基本的に禁止されている。適切な消毒がなされていない機材を池に入れると、錦鯉に病気が広がり、全滅する恐れがあるからだ。

特別な撮影許可を撮り、管理者立ち会いものもとで、消毒した機材を使用して撮影を行った。

(新潟小地谷市)

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錦鯉04

錦鯉05

飫肥は、1588年から明治初期までの280年間、飫肥藩・伊東氏の城下町として栄えた。江戸時代の武家屋敷や石垣が残る町中には掘割の清流があり、たくさんの錦鯉が泳いでいる。

(宮崎県日南市)

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錦鯉05

錦鯉06

気品と力強さを感じさせる大正三色。紅白に比較的まとまった黒斑紋が点在するのが特徴。太陽の光に照らされると、色彩がよりいっそう鮮やかに見える。

(宮崎県日南市)

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錦鯉06

錦鯉07

長崎県島原市は別名「水の都」と呼ばれている。街のいたる所から湧き出た水が清流となり、そこには色鮮やかな錦鯉が泳いでいる。水の透明度が高いため、水中から眺めると、まるで錦鯉が宙に浮いているように見える。

(長崎県島原市)

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錦鯉07

錦鯉08・09

カメラをハウジングに入れ、そっと水の中に沈めてみる。水は濁っていたが、色鮮やかな錦鯉をしっかりと捉えることができた。

(長崎県島原市)

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錦鯉08
錦鯉09

錦鯉10

四明荘は、明治後期に別邸として建築された。1日約3000トンの湧水量を誇る池には色とりどりの錦鯉が泳いでいる。

(長崎県島原市)

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錦鯉10

吉村和敏

Kazutoshi Yoshimura

写真家

■プロフィール

1967年、長野県松本市で生まれる。県立田川高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビュー。東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、自ら決めたテーマを長い年月にわたって丹念に取材し、作品集として発表し続けている。光や影や風を繊細に捉えた風景作品、地元の人の息づかいや感情が伝わってくる人物写真は人気が高く、全国各地で開催されている個展には、多くのファンが足を運ぶ。近年は雑誌の連載やエッセイ集の出版など、文章による表現の幅も広げている。2003年カナダメディア賞大賞受賞 2007年日本写真家教会新人賞受賞 2015年東川賞特別作家賞受賞

今までの作品一覧

オフィシャルwebサイト: https://kaz-yoshimura.com/

Profile Picture

■吉村和敏作品集

2000年『プリンス・エドワード島』(講談社)
2000年『輝く季節への旅』(KKベストセラーズ)※文庫版は『緑の島に吹く風』
2000年『アトランティック・カナダ』(日経BP社)※改訂版は『プリンス・エドワード島と東カナダ』
2002年『光ふる郷』(幻冬舎)
2002年『草原につづく赤い道』(金の星社)
2004年『静けさの時間』(ジェネオン エンタテインメント)※DVD版
2004年『あさ/朝』(アリス館)
2004年『ゆう/夕』(アリス館)
2004年『郷愁の光』(ピエ・ブックス)
2005年『緑の島に吹く風』(光文社・知恵の森文庫)
2005年『ローレンシャンの秋』(アップフロントブックス)
2005年『SILENT NIGHT』(小学館)
2006年『こわれない風景』(光文社)
2006年『あさの絵本』(アリス館)
2006年『林檎の里の物語』(主婦と生活社)
2006年『あした』(経済界)
2007年『プリンス・エドワード島と東カナダ』(日経BP社)
2007年『BLUE MOMENT』(小学館)
2008年『プリンス・エドワード島七つの物語』(講談社)
2009年『PASTORAL』(日本カメラ社)
2009年『「フランスの美しい村」全踏破の旅』(講談社)※増補版は『「フランスの最も美しい村」全踏破の旅』
2009年『Sense of Japan』(ノストロ・ボスコ)
2010年『小さな村は、聖なる鐘の音につつまれていた』(ノストロ・ボスコ)
2010年『クリスマスツリー』(アリス館)
2010年『GIFT』(経済界)
2010年『MAGIC HOUR』(小学館)
2010年『CEMENT』(ノストロ・ボスコ)
2011年『Shinshu』(信濃毎日新聞社)
2012年『LIGHT ON EARTH』(丸善出版)
2012年『RESPECT』(丸善出版)
2013年『カスタム・ドクター ソロモン諸島の伝承医』(ノストロ・ボスコ)
2013年『SEKISETZ』(丸善出版)
2014年『プリンス エドワード アイランド』(丸善出版)
2015年『「イタリアの最も美しい村」全踏破の旅』(講談社)
2015年『雪の色』(丸善出版)
2015年『Moments on Earth』(日本カメラ社)
2015年『KANRAMSHA×観覧車』(丸善出版)
2016年『五島列島上五島 静かな祈りの島』(丸善出版)
2016年『「ベルギーの最も美しい村」全踏破の旅』(講談社)
2016年『アトランティック・ジャイアント』(丸善出版)
2017年『MORNING LIGHT』(小学館)
2017年『錦鯉 Nishikigoi』(丸善出版)
2017年『RIVER 木曽川×発電所』(信濃毎日新聞社)
2017年『「フランスの最も美しい村」全踏破の旅』(講談社)
2018年『朝の光とともに、世界を巡る旅がはじまる』(丸善出版)
2019年『Du CANADA』(日経ナショナル ジオグラフィック社)
2020年『カルーセルエルドラド』(丸善出版)
2020年『SL×信州』(丸善出版)
2021年『STONE 庵治石と生きる匠たち』(丸善出版)